私の絵には、よく女の子が象に乗るシーンが出てくる。
なぜだか自分でもよくわからなかったので、記憶を辿ってみた。
私の育った街は中途半端な田舎街。そんな片田舎に、ある日サーカスがやってきた。
高校生だった私は、キラキラした華やかな世界を期待して
サーカスのチケットを手に入れた。
そしてワクワクした気持で、サーカス会場に行くと
そこはボロボロのテント小屋、倦怠感、動物の排泄物の臭い…。
皺の上に無理矢理塗りたくった白い顔のピエロ。
歳をとって気怠そうなライオン。(でもライオンがいた!)
体の線の崩れたマドンナ。
そして、しなびて疲れた象と象使いの異国人。
しかし期待はずれのはずの、そのサーカスに心を奪われてしまった。
空席の目立つ客席で、その薄暗い世界に魅了されていた。
結局2日続けて、サーカス会場に足を運んだ。
何がこんなに私を惹き付けたのか?
その時の象が
きっと私の中に住み着いてしまったんだ。
月【youtube】